|
 |
| |
| 2009年08月26日 15:30 『ベルアイルタイムズ』特別号 「ダーンシャーク男爵密着取材記」8/26 |
 |
|
| |
先日アリアバートの高級貴族であるダーンシャーク男爵が起こした
「ダーンシャーク男爵一目惚れ事件」はご存知だろうか。
ご存知でない読者の方はこの記事をご覧いただきたい。
■ベルアイルタイムズ第1号■
http://www.belle-isle.jp/200907/belltimes01_090701.html
本紙はダーンシャーク男爵のその後を追い、密着取材を行っていた。
そして男爵の恋の相手と目される襲撃者セイ=メイが、
いずれかの街に潜伏しているとの情報を入手し、今回の特集を組むこととなった。
男爵の動向に変化があったときは、随時お伝えしていく予定だ。
楽しみにしておいて欲しい。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
1294年 初春 朝の週 第3日8/26
ダーンシャーク男爵密着取材記も5回目を迎えた。
今回でひとまず最終回となる。
記者がやってきたのは、魔術と文化の国アリアバートの首都。
この騒動の発端でもあり原因でもあるこの国でこの事件は幕を閉じた。
セイ=メイらしき女性の目撃証言があり、それを頼りに男爵はやってきたのだった。
ほどなく男爵はアリアバート城を見上げるセイ=メイを見つけた。
物憂げな様子のセイ=メイもすっかり角が取れ、
男爵を怒鳴りつけ追い返すようなことはなくなった。
いよいよもって怪しい雰囲気になりつつある男爵とセイ=メイ。
頑なに男爵を拒んでいた彼女はもういない。
それでも男爵を受け入れるには至らず、押し問答を繰り返している。
だがもはや記者の目には、そこにいるのはただの男と女にしか見えなかった。
復讐をやめ罪を償って生きることを勧める男爵と、
真実を知ってなお復讐に生きることをやめられないセイ=メイ。
交わらない二人の会話はいつまでも平行線を辿るものと思われた。
その均衡を破ったのは男爵の一言だった。
「私は貴女を愛しています! 私と共に生きましょう!」
余りにも唐突でストレートな告白にセイ=メイは顔を赤らめ、
その想いに答えることなく街の外に出て行ってしまった。
照れ隠しのように回復しきれていない魔力でモンスターを召喚するセイ=メイ。
当然ミスティカルホーンすら物の数にしなかった冒険者に通じるわけもなく、
セイ=メイも本気で通じるとは思ってないのだろう、
勝敗に固執することもなくモンスターが討伐されると同時にその場を去った。
去っていくセイ=メイは、記者の目には心なしか嬉しそうな表情に見えた。
記者もこれだけ情熱的な告白をされてみたいものである。
なお今回の一連の騒動で公務を完全にサボタージュしていた男爵は、
観念したのか仕事に戻っていった。
告白したものの、返事ももらえずに逃げられたのはさすがに堪えたようだ。
当分たまった公務の処理に追われ、休みを取ることはできないだろう。
そのため本紙の密着取材もひとまずは終了とさせていただこうと思う。
もちろん何かが起きればすぐに皆様にお伝えしていくつもりだ。
本当にセイ=メイは男爵のことを何とも思っていないのか?
これきりセイ=メイの目撃情報が途絶えてしまった今、それを知るのは彼女本人のみ。
本紙は確認できた事実をただ伝えていくのみである。
 |
| セイ=メイに告白する男爵 |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
【1293年 初冬 朝の週 第2日】8/24
今回でダーンシャーク男爵の密着取材記も4回目となる。
男爵を追っている記者は再びボーダーへと辿り着いた。
その宿屋にて身体を休めていたセイ=メイを発見した男爵は、
記者にはおなじみとなったフレーズでセイ=メイを口説き、もとい説得を始めた。
男爵の熱意に押された様子のセイ=メイは、おとなしく男爵の話を聞いている。
前回の捜索の後一度アリアバートに戻った男爵は、
魔法研究所で何かの調べ物をしていたらしい。
当然のごとく記者は研究所に入ることができなかったので詳細不明なのだが、
男爵が語ったことこそが調査によって判明した真実なのだろう。
過去の襲撃の際にセイ=メイ自身が語ったところに因ると、
セイ=メイの一族は魔物を操る召喚術師であったようだ。
しかし、アリアバートの魔法研究所は召喚術を正式な魔術と認定せず、
居場所をなくした一族は歴史の表舞台から姿を消した。
そこまでは記者も歴史書から知ることができる範囲だ。
召喚術が魔術として認定されなかった真の理由を男爵は語った。
召喚術は適性のない者が使用すると、精神に異常をきたすというのだ。
たとえ優れた術でも、万人に扱えない力を公に広めることはできない。
それゆえ魔法研究所は召喚術を魔術として認めない旨を発表したのだが、
いつからか、市民の間で召喚術は邪法だという噂が広まりだし、
一族が迫害されるに至ったという。
突きつけられた言葉に動揺するセイ=メイ。
自らが当たり前のようにに使ってきた召喚術への信頼が揺らぐことを
恐れたのかもしれない。
それでもセイ=メイはアリアバートを許すことはできないと断言した。
経緯はどうであれ、アリアバートの民がセイ=メイの一族に行った仕打ちは
動かしようのない事実なのだ。
記者の先祖も召喚術師の迫害をしていたのかもしれないと考えると、
何とも言えない気持ちになる。
男爵は同じアリアバート国民として改めて謝罪した。
その上でやはりセイ=メイの行動は間違っていると説得する。
否定も肯定もできないセイ=メイは何も答えずに、力なくその場を立ち去っていった。
男爵も彼女を無理に追うことはしなかった。
 |
| セイ=メイに真実を告げる男爵 |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
【1293年 晩春 朝の週 第5日】8/19
3回目となるダーンシャーク男爵密着取材記。
ダーンシャーク男爵は相変わらずの性善説でセイ=メイの説得にあたる。
だが今回ささいではあるが、セイ=メイの態度に変化があった。
それについてお伝えしよう。
引き続きセイ=メイを追う男爵に密着取材を行っている記者は、
再びカルガレオンへと辿り着いた。
そこで宿屋で食事中のセイ=メイを発見した男爵はその席に同席し、
ワイン片手に会話を始めた。
3度目ともなれば慣れたもので、セイ=メイも一方的に男爵を罵倒するようなことはしなかった。
もちろん嫌な顔はしていたのだが、男爵はそれに気づいていないのか懸命に話しかけていた。
そして今回初めてセイ=メイは、男爵の話に耳を傾ける様子を見せた。
その内容はとても自国を脅かす襲撃者に対するものではなく、
優しく語り掛ける口調だったのが記者には印象的であった。
何も語らず一通り話を聞いていたセイ=メイは、
特別反応することもなく、ただ一言だけ残して立ち去っていった。
「あんたの言うこと理解はできるけど、納得はしないよ」
復讐のみで生きてきた人の気持ちは、
男爵や記者にはとうてい理解できないのかもしれない。
それでも男爵は諦めないようだ。
男爵が諦めない限り、記者も男爵についていこうと思う。
次回更新を待っていて欲しい。
 |
| 男爵の説得に耳を貸すセイ=メイ |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
【1292年 晩冬 第5日】8/17
ダーンシャーク男爵密着取材記2回目となる今回は、
残念ながらお伝えできる情報が非常に少ない。
それでも気にされている読者の方々のためにも、続報をお伝えしていこうと思う。
完全に襲撃者セイ=メイを見失った男爵は、職人の国ボーダーまで辿り着いた。
何の手がかりもなく探し続けている男爵。
だがこれが運命とでもいうべきだろうか。
男爵は噴水の前にいるセイ=メイを見つけ出した。
誠意を尽くし懸命に説得を行なう男爵に対し、
セイ=メイの頑なな態度は変わったようには見えない。
結局前回と同様罵詈雑言を男爵に浴びせ、セイ=メイはその場を去っていった。
結果的には何の成果もなかったようだが、それでも心なしかセイ=メイの態度が
軟化しているように見えたのは、記者の気のせいなのだろうか。
 |
| 男爵の説得も意に介さないセイ=メイ |
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
【1292年 初夏 第4日】8/12
記者がダーンシャーク男爵の密着取材を始めてからしばらく経つが、
皆さんにお伝えできるような新情報は特になかった。
だが今回セイ=メイのアリアバート襲撃以後初となる
ダーンシャーク男爵と襲撃者セイ=メイの邂逅が実現するに至った。
皆さんの興味がそそられるほどの進展はなかったのだが、
本日はその時の出来事についてお伝えしていこう。
襲撃者が逃亡した後、その魔力の残滓を追っていった男爵は、
軍事国家カルガレオンに辿り着いた。
カルガレオンの首都ともなればかなりの人でごった返している。
魔力探知による捜索は難しいと判断した男爵は、地道な聞き込み作業を始めた。
その結果、郊外の路地裏にて男爵は襲撃者を発見するに至った。
そこからは男爵には余りにも的な展開であったため、簡潔に結果のみ記そう。
懸命に行為の愚かさを説く男爵に対し、話をまるで聞かずに男爵を罵倒する襲撃者セイ=メイ。
何一つ建設的な議論がされぬままに、罵倒し飽きたセイ=メイは去っていったのだ。
 |
| ダーンシャーク男爵とセイ=メイ |
それでも男爵は諦めるつもりはないようだ。
セイ=メイの魔力を完全に見失った男爵は、徒歩による捜索を続けるようだ。
これが貴族としての使命感に因るものなのか、
それとも愛に因るものなのか、それは記者にはわからない。
だがアリアバート女性のためにも、男爵密着取材はこれからも続けていく。
続報を待っていて欲しい。
 |
| 記事:マイ=シン |
|
『ベルアイル』運営チーム
|
| |
 |
 |
|
|
|
|
|
|
|
|